未来の「つくる」はどう変わる? 親子で探る3Dプリンターと新しいものづくり
はじめに:身の回りは「つくられた」ものでいっぱい
私たちの身の回りを見渡してみてください。椅子や机、洋服、おもちゃ、スマートフォン、建物、食べ物に至るまで、ほとんど全ては誰かが「つくった」ものです。ものづくりは、私たちの生活を豊かにし、社会を発展させてきました。
では、これから先の未来では、ものづくりはどのように変わっていくのでしょうか? 子供たちが大人になる頃には、今とは想像もつかないような新しい技術が登場し、ものづくりのあり方が大きく変化しているかもしれません。未来のものづくりについて親子で一緒に考えることは、子供たちの創造力や探求心を育む素晴らしい機会となります。
未来のものづくりを象徴する技術:3Dプリンター
未来のものづくり技術の中でも、特に注目されているのが「3Dプリンター」です。その名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
3Dプリンターは、コンピューターで作られた立体データ(設計図)を基に、材料を一層ずつ積み重ねて立体物を作り出す装置です。まるで魔法のように、目の前で形が生まれていく様子は、見ているだけでもわくわくします。
今、3Dプリンターは様々な分野で活用され始めています。
- 製造業: 複雑な形状の部品や試作品を素早く作ることができます。
- 医療: 患者さんに合わせた義手や義足、手術の練習用モデルなどが作られています。将来的には人工臓器も作れるようになるかもしれません。
- 建築: 家の一部や、場合によっては家全体を3Dプリンターで建設する研究も進んでいます。
- 教育: 学校で子供たちがアイデアを形にするために使われることも増えています。
- 個人: デザイナーやエンジニアだけでなく、個人が自宅でオリジナルのアクセサリーやフィギュアなどを作ることも可能です。
3Dプリンターのその先へ:広がる「つくる」の可能性
3Dプリンターは未来のものづくりを代表する技術ですが、これ以外にも様々な新しい「つくる」技術が登場しています。
- ロボットと自動化: 工場ではすでに多くのロボットが活躍していますが、AI(人工知能)と組み合わせることで、より複雑で柔軟なものづくりが可能になります。
- ナノテクノロジー: 目に見えないほど小さな世界で、原子や分子を操って新しい材料や装置を作り出す技術です。
- バイオテクノロジーとバイオプリンティング: 生きた細胞を使って組織や臓器を作り出す研究です。これも広義には「つくる」技術と言えるでしょう。
- デジタルファブリケーション: 3Dプリンターだけでなく、レーザーカッターやCNCルーター(コンピューター制御の切削機)なども含めた、デジタルデータをもとにものを作る技術全体のことを指します。誰もがアイデアを形にできる可能性を秘めています。
これらの技術が進化することで、将来的には、必要なものを必要な時に、必要な場所で「つくる」ことが当たり前になるかもしれません。大きな工場がなくても、個人が必要なものをデザインして自宅や近所の工房で「つくる」、あるいは病気で失われた臓器を自分の細胞から「つくる」、といったことが実現する可能性があります。
親子で探求!未来の「つくる」技術に触れてみる
未来のものづくりについて考えることは、子供たちの創造力や問題解決能力を刺激します。ご家庭でも、ぜひお子様と一緒に未来の「つくる」に触れてみてはいかがでしょうか。
1. 身の回りにある「つくられたもの」を観察してみる
普段当たり前だと思っているものが、どのように、どんな材料で「つくられている」のかを想像してみましょう。プラスチック製品、金属製品、木製品など、それぞれ違う作り方があります。子供と一緒に「これはどうやって作られたのかな?」「もし違う作り方だったらどうなるかな?」と話し合ってみることで、ものづくりへの興味が深まります。
2. 3Dプリンターの世界を覗いてみる
YouTubeなどの動画サイトで「3Dプリンター」と検索すると、様々なものが作られている様子を見ることができます。物が形になっていく過程は、子供にとって非常に魅力的です。医療現場や宇宙での活用事例を見ることで、科学技術が社会にどう役立っているのかを学ぶきっかけにもなります。
3. 簡単な3Dモデリングに挑戦してみる
専門的な知識がなくても使える、子供向けの簡単な3Dモデリングツールがあります。「Tinkercad(ティンカーキャド)」などが代表的です。ブロックを積み重ねるように、コンピューター上で自由に立体をデザインできます。実際に操作してみることで、立体をどう表現するか、どう組み合わせるかといった空間認識力や創造力が養われます。もし近くに3Dプリンターを使える場所があれば、作ったデータを形にしてみるのも素晴らしい経験になります。
4. 「もし〜だったら?」と想像を広げる
未来のものづくりについて、親子で自由に想像を巡らせてみましょう。「もし、おもちゃを家で好きな時に作れたら?」「もし、壊れたものをすぐに自分で直せたら?」「もし、食べ物をボタン一つで作れたら?」など、日常の場面に新しい技術を当てはめて考えてみることで、その可能性や課題が見えてきます。
結びに:自分で「つくる」ことの価値
未来の技術がどんなに進んでも、「自分で考え、アイデアを形にする力」は、子供たちが未来を生き抜く上で非常に重要な力となるでしょう。未来のものづくり技術は、この「つくる力」をより多くの人が発揮できる可能性を秘めています。
未来の「つくる」技術について親子で探求することは、単に技術を知るだけでなく、子供たちが自分の手で未来を創造していくことへの興味や自信を育むことにつながります。ぜひ、ご家庭で未来のものづくりの話題を楽しんでみてください。